毎朝鏡を見るのが憂鬱、頭皮が見れるのが嫌でヘアスタイルを変えられない、抜け毛が怖くてシャンプーやブラッシングをどうやっていいかわからないなど薄毛による悩みは近年中高年の男性だけでなく20代30代の若年層や女性までいまや多くの人が抱える問題として良く知られています。AGA(男性型脱毛症)をはじめとした薄毛の治療補法はプロペシアなどの男性ホルモンを抑制する専門薬やそれに準ずるサプリメントなど内服薬の投与と地毛・人工毛を使ったカツラ、増毛、植毛などの手術治療、実に様々な治療方法があります。
地毛植毛といっても実にいろいろな手術の種類がありそのなかでもFUE植毛はメスを使わずにする切らない植毛方法でアメリカなどで一般的に行われている植毛方法であるFUT法との違いはドナー(後頭部や側頭部から採取する生命力の強い地毛とその毛根部分)を頭皮とともにメスによって切って採取する方法ではなく切らずに採取するというところです。FUE植毛のメリットはまさにメスを使わずに植毛できるところで、傷跡が残る心配がないためメスを使っての手術に抵抗のある方や皮膚が固く張っているなどの皮膚の状態が切ることに適していない方や皮膚の状態の万全でない方に有効な植毛方法です。
FUE植毛ではまず植毛したい部分のカウンセリングとそのデザインを患者の方と相談し植毛範囲とどのくらいの植毛配分で手術するのがよいか治療プランをたて、その後「パンチ」と呼ばれる道具を使い後頭部や側頭部からグラフト(2.3本ごとの毛の束の頭髪と毛根)ごとくりぬいてドナーを採取します。その際ドナー部分の髪は短くカットするため1000グラフト以上のドナーを採取するには一時的にスキンヘッドにする必要があり、くりぬいた後は直径約1mmの白く丸い米粒大の傷跡が多数残りますが術後も縫ったりなどは特にせず自然に治るのを待ちます。手術は心電図、血圧、脈拍などのモニターを確認しつつ医師と看護師の4人から8人体制で行われることが多くドナー採取部分には局部麻酔を使用するので痛みはありません。
採取したグラフトは3種類ほどのおおまかな大きさのグループに分類し植毛予定範囲にスリットをあけより自然に見える配合を考え毛根部を傷つけないよう細心の注意を払って移植していきます。FUE植毛はメスを使わず採取したドナー部分の縫合処置もしなくてよいメリットの多い植毛方法だと言われる一方で、デメリットは髪の毛をパンチで毛根からくりぬいて採取するため採取した毛根部分を傷つけるショックロスが起こりやすく、ショックロスのドナーを植毛しても定着率はほぼ0にちかいといわれており自分の大切な髪の毛を無駄にする確率の高い植毛方法であるともいえ、ドナーの定着率が人によってちがうため一回の手術で満足が得られにくく、またドナーグラフトをくりぬいた際に白く丸い米粒大の傷跡がのこるので術後に髪を伸ばすヘアスタイルにする方は気になりませんがベリーショートやかりあげなどのごく短いヘアスタイルはこの傷跡が目立ってしまう場合があります。
しかしながらFUT植毛・ストリップ法植毛にくらべ横一直線の大きな傷跡ののこるリスクはありませんしカツラや人工毛による増毛・植毛によってかかる維持費やプロペシアやサプリメントなどを継続して購入する費用がかかることがないのでその点ではAGAなどの薄毛治療費の予測がたてられる点もメリットであるといえるでしょう。この移植技術は熟練した医師の技術が必要となるため植毛の専門医療機関を選ぶことと、その後の定着率を上げるためにもアフターケアの万全な信頼のおける医療機関であることを十分に確認して選択することが大切です。なお、植毛に関しては最新技術として、ロボットを用いた植毛手術が開始されており、湘南美容外科が運営しているルネッサンスクリニックのARTAS(アルタス)植毛が注目を集めています。