植毛ロボットARTASのメリットとデメリットについて

現在では自毛植毛手術の方法にも多くの選択肢があり、少しでも生着率を高めるため各クリニックはしのぎを削っていますが、その中でも最新鋭の技術のひとつと言えるのが植毛ロボットARTASで、ドナーの採取を機械が行なうことに最大の特徴があり、それに伴うメリットもデメリットもあるため、仕組みを十分に理解した上で植毛手術を受ける必要があります。

 

ARTASは広い意味では、メスを使わないFUE法と呼ばれる植毛手術の一種で、ドナー採取の際に皮膚を帯状に切り取るのではなく、小さな穴を開けて毛根ごとくり抜くという方式であるため、縫合の跡が残らないというメリットがある反面、採取するとき毛根を傷つけてしまう可能性が高いことや、ひとつひとつ穴を開けるので時間がかかり、医者にも患者にも大きな負担をかけることがデメリットでした。そこでドナー採取を機械に任せようというのがARTASの発想で、4つのCCDカメラが1秒間に50回の撮影を行なって頭皮の状態を把握し、モニター上で医師のチェックを受けながら、精度の高いロボットアームが的確に毛根をくり抜けるようになっているため、経験の少ない医師でも毛根を傷つけず、一度に大量のドナーを採取することが可能です。
どんなに熟練した医師でも何百というドナーを採取していれば、いずれは疲れて正確性が落ちてきますが、ロボットは疲れるということがなく、数の多いドナーでも一定のスピードで施術できるため、手術時間を短縮でき患者への負担も軽くなる上に、一本一本のドナーを正確にくり抜けるので、誤って毛根を切断してしまう可能性が小さく、それだけ生着率を高められるというメリットがあります。自毛植毛は髪の毛全体の本数を増やせるわけではなく、ドナーを一本でも無駄にすることは痛い損失になりますが、植毛ロボットはこの点で有利なだけでなく、メスを入れた跡が残らないとか、痛みが少なく傷の治りが早いといったFUE法の長所も備えていて、手術後のことが気になる方にも支持されています。
なおARTASでもロボット化されているのはドナーを採取する部分だけで、かつては毛髪を植えこむ部分までロボット化する試みはありましたが、どうしても生着率が低くなってしまう欠点があって、最終的には医師が手作業で植毛していく方法が採用されているため、技量の高い医師が在籍している症例数の豊富なクリニックを選ぶことが大切です。
現在のところARTASを導入している医療機関は、ルネッサンスクリニックなど数が限られていて、日本中どこでも手術を受けられるわけではなく、またロボットそのものの導入費用が高いため、もともと自由診療で保険の利かない植毛手術の料金が、さらに高めになりがちなことがデメリットです。またカメラで撮影するとき邪魔にならないよう、ドナー部分の髪の毛を幅広く短く刈り上げる必要があって、手術後しばらくは上手に隠さなければならないことも、デメリットのひとつと言えます。

 

腕に自信がある医師の中には、ロボットより速く正確にドナーを採取できるという人もいますが、そのような医師に出会える患者は限られていることを考えれば、誰でも質の高い施術を受けられる植毛ロボットは、安全で安心な設備と言えるでしょう。なおルネッサンスクリニックのような大手の医療機関では、ARTAS以外にも通常のFUT法など、他の種類の植毛手術を取り扱っており、また料金についてもキャンペーンなどで安くなっている場合があるので、まずはじっくりとカウンセリングを受け、それぞれのメリットとデメリットをよく把握した上で、自分自身の希望や都合に合った方法を選ぶようにしましょう。

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